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冷却塔(クーリングタワー)の冷却水・循環水処理 orange_bar

有機リン系「水処理剤」は、「レジオネラ菌大量発生」のリスク


有機リン系「水処理剤」は、「レジオネラ菌大量発生」のリスク

微生物は増殖する条件として、細胞成分に「アミノ酸」や「たん白質」を生成しなければなりません。それには、「窒素」「硫黄」が必要となり、「核酸」を生成するには「リン」を必要とします。ここでもまた「リン・窒素」が出てくるわけです。



浮遊する「バイオフィルム」

天然界(無機)からこれらの「栄養成分」が自然現象として、クーリングタワー(冷却塔)に混入される。これは、もう仕方のない事です。しかし、冷却塔の水処理剤 (スケール防止・防錆剤) の基剤に人工的に精製された「有機リン・窒素化合物」が大量に使われていると、

レジオネラ菌を含むバクテリア側から見れば、同じく「栄養豊富で増殖に最適な環境」なのです。

レジオネラ菌などが大量に発生しやすくなる環境を自分自身で作り上げ、それに対して、今度は「塩素」等の 殺菌剤を大量に"ジャブジャブ"と添加して、バクテリアの増殖を抑えているのが実態です。

まさに砂糖入れて、塩入れて、また砂糖入れて。の繰り返しです。どうしてこんな、「アメ」と「ムチ」をシンクロ的に行わなければならないでしょうか?

あるクライアントが現在、使用している水処理剤会社の薬品を添加しても、レジオネラ菌が減少しないばかりか、ますます増えていって困っている。との事で弊社に相談が来ました。現場に行ってみると使われていたのは、有機リン系+窒素化合物系の液体水処理剤(スケール防止剤、防錆剤)と大量に置かれている固形殺菌剤。




有機リン+窒素系水処理剤

水道水でこの液体水処理剤「1%水溶液」を生成し、「全リン濃度」と「全窒素濃度」を計測した結果は、

「全リン:7.82mg/L」「全窒素:22.1mg/L」。

かなりの比率で「有機リン・窒素化合物」が占めています。これが大量に河川・海域に流れ出たら、たちまち「富栄養化」が発生し、自然界の生態系を崩すでしょう。もちろん超過排水した場合、「水質汚濁防止法」「下水道排水規制」「水質総量規制」違反になります。

当然、固形水処理剤でも「有機リン・窒素化合物」が多く使用されていれば、同じ現象が起きます。

※「各態窒素」の存在は「有機リン」と同じく富栄養化(生態系破壊)の原因となります。

◆「環境水中のレジオネラ属菌の生育環境調査と新しい分類方法の確立」(山梨大学・大学院・医学工学総合 平山けい子)

(河川水中のレジオネラ属菌の調査を行なった結果、リン酸イオンが検出されない地点では、レジオネラ属菌は測定されなかった。 河川水中のレジオネラ属菌生育を防ぐにはリン酸イオンの制御が効果的であることが考えられる…)

冷却塔内も有効殺菌成分がなくなると「富栄養化」します。これらは有機リン・窒素化合物を基剤とした「複合処理剤」を使用。


充填材で増殖した大量のスライム・藻類

殺菌剤の有効成分がスライムにより消費

藻類で穴が塞がる散水板

スライムで汚染された冷却水

スライムと藻類が充填材に付着

金属腐食防止の目的で添加されていたはずの「有機リン・窒素化合物」系複合水処理剤が、冷却塔内で皮肉にも「富栄養化」を引き起こし
もはや 「バクテリア・藻類の温床」になっています。

こうなってしまうと、殺菌剤の効果も大きく低減し、さらに成長が加速され、レジオネラ菌を周辺にまき散らすだけの 「噴霧機」と化します。また、「リン」は排水管、下水道を閉塞させ、配管を詰まらせる主原因です。リンを高濃度で排水しますと、「下水道法違反」「水質汚濁防止法違反」はもとより、固形物になり、下水道管に大きな負荷を掛けます。


 まず、手が届く範囲の不要物は、物理的に除去して下さい。(人間による塔内清掃・高圧ジェット洗浄等)
配管系内は化学的洗浄を用いるしかありませんが、少しずつ殺菌剤で行っていく方法が良いでしょう。
その際、これ以上の「栄養」を与えない事水を絶対に高濃縮させない事。 これは「鉄則」です。

「水中のリン・窒素濃度」を低下させる方法で最も簡単なのは、単純に水処理剤を「無リン・無窒素」に変更します。
栄養成分の供給を止め、殺菌剤で少しずつ除去して行きます。配管系内からの除去が終われば、殺菌剤の濃度設定も落とせます。

まずは、ご使用の水処理剤に「リン・窒素化合物」が使われているかどうか? を確認してみましょう。
供給業者からMSDSを入手していますか?  MSDSに記載されている項目がほとんど「非開示」の場合、質問して下さい。

Q.1 「有機リン(ゆうきリン)は入っていますか?」
Q.2 「窒素化合物(ちっそかごうぶつ)は入っていますか?」
Q.3 「非開示となっているのは、何故ですか?」
Q.4 会社として、入っていないと言う「証明書」を提出できますか?

「国際的な大手メーカー」等では、すでに「無リン・無窒素化」を始めています。これが添加されている水処理剤は採用していません。

「有機リン・窒素化合物」の総排出量も「増加傾向」にあり、カルファケミカルが本社を置く「横浜市」の行政も、これまでより厳しく「規制」する流れになって来ており、環境省・東京都も最新の研究結果を踏まえ順次、新基準を適用しています。

横浜市環境保全部規制指導課環境創造局: 「事業場排水の規制について」
環境省: 第6次総量規制 第6次水質総量規制の在り方について
環境省: 第7次総量規制 第7次水質総量削減の在り方について(すでに第7次の検討が始まっています)
東京都環境局 第6次水質総量規制

大手コンビナートプラントの付近では、環境NPO団体等が、河川・海域排水附近から定期的に採水。 第三者試験機関に分析を依頼、それをメディア等の媒体を通じ世間に公表して行く動きをとっております。 これは、「社会正義」・「環境保全」ためには重要な活動でしょう。

水処理薬剤メーカーが「リンがこれまでの1/3に!」と強くPRする「有機リン系水処理剤」をこれまでの4倍〜5倍の添加量で、大量に環境中に飛散、噴霧され、 そして平然と下水道に排水しております。 さぁ、何が変わったのか? 変わったのは「水処理剤の売り上げ」だけでしょう。

最近では、ようやく行政機関が重い腰を上げ、排出者を特定できるいくつかのポイントに絞り 「下水道法に準拠する水質」かどうかを定期的に採水・データ化しております。 計測する成分は業種、個所、河川、下水によってそれぞれ違いますが、 やはり主たる成分は「有機リン・窒素化合物」です。


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