左図の様に、配管系、冷却塔内に「バイオフィルム」やバイオフィルムに鉱物が混合されて出来た「スケール(※1)」には、かつて大量に発生したレジオネラ属菌が「休眠状態」で生息しているケースも多くあります。
例えば、殺菌剤を自動的に添加する「薬剤注入装置」がエアロック(エアーが噛む)を起こし殺菌剤が全く添加されていなかった期間があった、また、添加する殺菌剤の「濃度設計」が不足していた等があげられます。
配管・設備内に「ぬめり」や「スライム」が生成されて、この粘性物が鉱物を抱きかかえて、やがて硬化し「スケール化(※1)」して行くパターンです。
これが繰り返されると、配管内に「層」が出来上がって行きます。
慌てて殺菌剤を投入しても内部にまで届きませんし、冷却塔内だけの洗浄作業を行っても配管内の硬化した「層」は取り除けません。
稼働循環中に「自然にスケールが剥がれた」、もしくは、「スケール除去剤」を使用した場合、内部で「休眠していたレジオネラ菌」が循環水中に放出されるケースがあります。
まさにこの瞬間に、水中の殺菌剤濃度が不足(能力低下含む)していた場合、休眠していたレジオネラ菌が放出されます。
「スケール除去剤」(防止剤ではない) を使用する際、逆にレジオネラ菌が多く検出されてしまうのは、こういったケースからです。
長年の「垢(あか)」を落とすと言う事は、この様な現象も起こりますので、日ごろのメンテナンスが最も重要と言う事です。(煙の段階で消す)
この環境下で生息されていたバクテリアは「塩素剤」に対してすでに「耐性」を獲得している事が知られています。
しかし、慌てる必要はありません。この様な状況が発生する事が予想できる場合は、殺菌剤の濃度設定を少し高めにする等で解決できます。不足した分を補う目的と、病原菌を循環水中で確実に殺菌しなければならないからです。
繰り返しますが、大切なのは、このミルフィーユ状の「スライム」→「混合スケール層」を作らせない、「日頃のメンテナンス(管理)」意識の高さです。