基本的に、一度「バイオフィルム化」してしまった有機物は「殺菌剤」を添加し、通水させたところで「バイオフィルム内部に生息しているレジオネラ菌」を死滅させる事は出来ません。「たんぱく」が主成分となっているバイオフィルムは、やはり、それ自体を除去するしか方法はないのです。
それはちょうど「火災警報」と同じです。 「火災報知機」を作動させている原因である「火」を消さずに、「火災報知器」のスイッチだけを切っても、「火災報知機」は再び作動するでしょう。 つまり、一時的な「対処療法」ではなく、根本的な原因を取り除かなくては、問題の解決には至らないです。
しかしながら、一般的な「洗浄剤」では、この一方通行である「送水管」の洗浄が出来ないのが現状です。「過酸化水素」ではパイプラインにこびりついた 有機物との反応が速すぎて「暴発」する可能性があり、また、「高圧洗浄」もこのラインは洗浄出来ません。
CALFA NSS システムは、循環系統のみではなく、この「一方通行」である送水管の洗浄も可能なのです。
それでは、ここで一般的な循環式温浴施設の配管図を用いてご説明いたします。
下記の図は、一般的な循環式温浴施設の基本配管図です。(複雑な経路は省略しております)
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この図面に、「最もバイオフィルム生成・レジオネラ菌増殖」の危険箇所を付け加えます。
「貯水槽」、「系統(Z)」は、塩素などの殺菌剤が添加されていない源泉が貯水・送水されています。また、長年の間、一度も洗浄されていない設備が多いので、最も危険箇所です。 (※ 送水管に塩素注入機を設置されている施設様もいます)
「連通管」、「系統(C)」は、停滞水(つまり「死に水」) となって著しく水の動きがありません。週に1度ドレンコックを開いて排水されている施設様が多いですが、バイオフィルムの生成は平均で4日〜5日です。(水質・水温にもよります)
何かの拍子に、バイオフィルム内から生きているレジオネラが浴水に流出されます。泉質のPH(アルカリ)や、入浴者数の増加する日時・時間帯(アンモニア/汗の増加)によって著しく殺菌効力が低下した瞬間、ほとんど塩素剤はその効力を失っています。
繰り返させていただきますが、バイオフィルム(生物膜)は生成されてから、殺菌水を通水させても全く意味がありません。 あくまでも、基本は「作らせない」と言うことです。
「ろ過器」は設備上、その役割から、最も複雑な構造をしていますので、ここは当然 「最も危険箇所」 と言えます。
※「高圧洗浄」では、「ろ過器内」、「複雑に入り組んだ配管内」では「物理的に」洗浄出来ません。 作業に長い時間をかけても、除去出来ない部分は残ります。 高圧洗浄は、あくまでも「洗浄ノズルが入る箇所・部分限定」の洗浄方法とご理解ください。
「貯水槽」はバクテリア・バイオフィルムの温床となり、「系統(Z)」に関しては、バクテリア・バイオフィルム・スケールも混合されているケースが多いです。 これにより、大量のスケールが送水管のポンプ内に蓄積され「ポンプ故障」を招きます。
洗浄するには、「貯水槽」にNAC と SAPを添加し、洗浄水を最低でも「90分以上かけて」浴槽に送水するようにポンプ、コックで水流調整を致します。 その際、事前に貯水槽(貯湯槽)の中にNAC と SAPを添加し、源泉を補給して洗浄水を作る。もしくは、半分だけ源泉を補給しておいて、NAC と SAPを添加し、残りの半分の源泉を補給して洗浄水を作ります。
理由は、「濃度の均一化」です。
(※ 送水管は、ポンプを停止したり、コックを完全に閉めないで下さい。製品の特性上 「水の流れ」 があった方が効果的です)
貯水槽「貯湯槽」内では、水の流速が作れないので、あらかじめ NAC / SAP を投入、源泉を補給して乱流を起こしながら、洗浄水を精製される事をお勧めします。
計算例): 貯水槽(貯湯槽)に20トンの洗浄水を作る場合
NAC 20,000Kg ×0.01% = 2Kg (1Kg×2本) / SAP 20,000Kg ×0.3% = 60Kg (25Kg×2.4袋) 約3袋
これを90分で送水する場合、20,000Kg ÷ 90分 = 222Kg (1分あたり) / 222÷60秒 = 3.7Kg (1秒あたり)
1秒間に、3.7リットル浴槽に注がれるように調整致します。
尚、「計算例」は単なる目安ですので、必ずしも「正確」でなくてはならない。 と言う訳ではございませんので、約4リットル程度。等で構いません。 送水時間も、必ずしも90分でなくても構いません。長ければ長いほど効果があります。
(※ 但し、送水管は、ポンプを停止したり、コックを完全に閉めないで下さい。製品の特性上 「水の流れ」 があった方が効果的です)
CALFA NAC と CALFA SAPで一方通行(One Way)管の洗浄しましたら、次に「すすぎ」を行います。 その際、「すすぎ水」に殺菌剤を少量添加しておくと、設備のすみずみまで殺菌されます。添加量はほんの少しで結構です。
すすぎが終わっても長時間に渡り、殺菌成分を送水管に流します。
尚、すすぎの際は「流速」や「時間」は特に関係ありません。
計算例): 貯水槽(貯湯槽)に20トンの「すすぎ & 殺菌水」を作る場合
20,000Kg ×0.0005% (5ppm) = 100g 程度 (CALFA SPAC を貯水槽(貯湯槽)から 100g 添加) -5タブレット程度-
*こちらも同様に、CALFA SPAC を添加後に、源泉を補給する事をお勧めいたします。
尚、送水管内のメンテナンスとして、1ヶ月に1度くらいに 5ppm-10ppm (20トンタンクの場合、「100g - 200g」 / 5 - 10 タブレット) 程度、投入しておくだけで、送水管内に発生する 「バイオフィルム」の生成を著しく低減出来ます。