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循環浴槽のレジオネラ菌、配管汚れ対策 orange_bar

それでは、「殺菌・消毒・洗浄」はどのように行われているのでしょうか?

これまでの温泉施設の殺菌剤

何度もくどいようですが、@「洗浄」 と A「殺菌」(消毒) は違うということをご理解ください。

【洗 浄】 配管、ろ過器内部、浴槽、その他水路系に付着したバイオフィルム及び不要物の「分解・除去」を行う。

【殺 菌】 「水中の病原菌」等に対して、水の中で「消毒」を行う。

そして更にくどいようですが、一度、バイオフィルムが形成されてしまうと、「殺菌剤」はバイオフィルムにブロックされて内部まで到達できず、十分な殺菌効果を得られません。 配管洗浄等の業者に依頼した時に、「何故か、コストが安い」また、「これ1個で!」と言う商品・サービスは、ほとんどのケースA「殺菌剤」を高濃度で添加するだけで、 根本的に@「洗浄剤」とは違うことが多いということを認識して下さい。

それでは、「洗浄剤」と「殺菌剤」では、どちらの方が「重要」なのですか?

洗浄も消毒もどちらも重要ですが、より重要なのは @「洗浄」と言えます。 A殺菌剤は、水中に漂う病原菌の「消毒」を行うことしかできません。

「なぜ洗浄なのか?」  それは、A殺菌剤では、「有機化合物 (油脂・皮脂)」 を分解・除去出来ないからです。 そして、温浴設備のなかで「最も洗浄しなければいけない箇所はどこなのか?」というと、それは有機化合物をフィルタしている「砂ろ材(砂そのもの)」となります。 「洗浄に勝る殺菌はない」と言われるように、@「洗浄」をしっかり行うことが重要で、その後にA「殺菌剤」が投入されることで「殺菌剤」そのものの力が発揮できるようになります。

詳しいコツ・ポイントは後述するとして、それでは A「殺菌剤」 には、どの様な物があるのでしょうか?


殺菌

次亜塩素酸ナトリウム( NaOCl )

次亜塩素酸ナトリウム

一般的に「塩素」と呼ばれる殺菌剤は、次亜塩素酸ナトリウムが使用されています。次亜塩素酸ナトリウムは「ハイター」の原料と言えば分かりやすいでしょう。この「塩素」は化学変化により「結合塩素」と「遊離塩素」の2種類に分類できます。殺菌効力が強いのは、「遊離塩素」の方で、「結合塩素」は殺菌効力を過度に失います。

「結合塩素(クロラミン)」は「塩素」と「窒素化合物(N)」が結合したものですが、人間の汗であるアンモニア、尿素などは「窒素化合物 (N)」ですので、人間がお風呂に入ることでお湯の中で汗などと塩素(殺菌剤)が結合して殺菌効力を失っていきます。また、「遊離塩素」のまま存在できたとしても、温泉のPHがアルカリ域の場合、「遊離塩素」の殺菌効力は著しく低下してしまいます。さらに、単純な塩素のみでの殺菌は、細菌も種の維持を行うために塩素に耐性を持つ「塩素耐性菌」に進化し始めます。

「耐性菌」として過去の出来事で最も知名度が高いのは「ペニシリン」への耐性菌の発見と思われます。 1927年夏季、イギリスのフレミング博士により発見された「抗菌性物質:ペニシリン」は、抗菌薬として、これまで不治の病として人々を苦しめた感染症に対し、著しい治療効果が認められ、ペニシリンは世界中に広がって行きました。

しかし、わずか数年後、「ペニシリンが全く効かない黄色ブドウ球菌」が出現し、世界中に黄色ブドウ球菌への感染が蔓延していきました。 黄色ブドウ球菌は、種の維持のために進化し、ペニシリンを分解する「ペニシリナーゼ」というタンパク質を分泌出来る能力を獲得したのです。

「病原菌に効果する新薬の開発」さらに「その新薬に耐性を持つ病原菌の出現」と、「医薬の世界」と「耐性病原菌」は常に互いを封じ込めるための「追いかけっこ」をする運命となっています。

同じ薬を飲み続けていると、だんだん効きが悪くなっている気がするという現象があります。同様に、同じ塩素のみでの殺菌では菌が進化し耐性を持ち始めますので、意図的に殺菌剤を変えるか、濃度を次第に濃くするしかありませんが、塩素濃度を濃くすると、塩素臭の臭いばかりが強くなり、お客様が温泉を楽しめないことが多くなります。


通常の塩素剤の効力は温泉環境では著しく低下します。

温泉環境における「塩素」(次亜塩素酸)の結合

HOCl + NH3 = NH2Cl + H2O
次亜塩素酸 + アンモニア = モノクロラミン + 水

NH2Cl + NH3 = NHCl2 + H2O
モノクロラミン + アンモニア = ジクロラミン + 水

NHCl2 + NH3 = NCl3 + H2O
ジクロラミン + アンモニア = トリクロラミン + 水


さらに、思い出してください。一般的な国内温泉のPHはアルカリ域です

通常の塩素剤の効力温泉環境では著しく低下します

下表は、厚生労働省が公開している「PH」と「次亜塩素酸(遊離塩素)」の関係を示すデータです。

PHと次亜塩素酸(遊離塩素)との関係

【POINT】
塩素剤で強い殺菌効力を持つ「次亜塩素酸」ですが、PH値によって次亜塩素酸の占有率が変化します。次亜塩素酸は強酸性に傾くと塩素ガスと次亜塩素酸に分かれ、強アルカリ性に傾くと次亜塩素酸イオンと次亜塩素酸に分かれます。簡単にいうと強酸性のものと一緒になると塩素ガスが発生し、アルカリ性のものと一緒になると次亜塩素酸イオンの方が殺菌力が弱いため殺菌効力が薄れてい活きます。

温泉に入る女性

まず温泉に、殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウムを添加すると、「アンモニア」などの窒素化合物と結合し、結合塩素(クロラミン)になり、その殺菌効力が低減します。※結合塩素(クロラミン)の殺菌力は遊離塩素の10分の1です。

次に、運よくクロラミンにならなかった「遊離塩素」は潜在的に温泉に含まれる「硫黄」や「鉄」「マンガン」とも結合して効力が低下していきます。そして温泉の持つ弱アルカリPHによって、さらに低下していくと遊離塩素元来の殺菌力をほとんど失ってしまいます。

失った殺菌力を補う為には、ジャブジャブと塩素剤を大量に追加添加していかなければならず、本来の「殺菌効力」を確立出来なくなります。この状態になると「温泉」と言うより、※1「塩素風呂」になってしまい、肌が弱い女性や子供、塩素臭が気になるお客様は、ウンザリされてしまうかも知れません。

悲劇はこれだけでは終わらず、最後に訪れるのは、洗浄不足と一辺倒な「塩素剤」のみでの殺菌方法によって「塩素耐性菌」が生まれて来る事です。

バイオフィルムが生成されてしまった場合、殺菌剤はバイオフルムにブロックされ内部にまで届きません。仮に、届いたとしても、フィルム内部に生息するレジオネラ菌は「すでに、塩素への"耐性"を獲得している」事がたくさんの研究結果から知られています。

※1.アンモニア等の「窒素化合物」と「次亜塩素酸」とのバランスが崩れ、「塩素リッチ」になりすぎると、モノクロラミンではなく、「ジクロラミン」・「トリクロラミン」となり人間への「皮膚刺激性」「塩素臭」が上昇します。


殺菌

塩素化イソシアヌル酸( C3HCl2N3O3 / C3Cl3N3O3 )


塩素化イソシアヌル酸は、尿素を原料として製造される 「シアヌル酸」 と 「塩素」 を反応させた固形殺菌剤(粒状・顆粒状など)です。

固形ですので、前述の「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」よりも「高濃度」に作ることができます。例えば「トリクロロイソシアヌル酸」では、最も高濃度な製品は「90%程度」まで濃縮されています。 その為、顆粒の製品は、大量の水に使用しても瞬間的に「塩素濃度」を上げる事が可能となっているわけです。

「塩素化イソシアヌル酸」の最大の化学的メリット

通常、次亜塩素酸ナトリウム水溶液をはじめとする液体塩素は、強い直射日光(UV) に当たり続けると、塩素の化学構造が壊れ「酸素」と「塩化ナトリウム水」(塩水)に変化してしまいます。

この際、「塩素」の隣に「イソシアヌル酸」があると、先にイソシアヌル酸が犠牲になって、この化学反応のスピードを遅らせることができるのです。

仮に、一般的な水質のお湯が停滞しているとします。 これに 「約1時間」、「夏の直射日光」が当たり続ければ、ほとんどの塩素構造は壊れてしまいます。塩素化イソシアヌル酸の場合、この塩素構造の破壊を2倍〜4倍程度遅らせる事が可能となるわけです。

塩素化イソシアヌル酸を皆さんがどこで見たことがあるか、そうです、この殺菌剤は、「屋外プール」の床に転がっている白い塊と言えばお分かりになるでしょう。

配管の状態 ここまでの話では塩素化イソシアヌル酸はとても良さそうな感じもしますが、温泉で使用されていないのは何故でしょう。一般的な日帰り温浴、スーパー銭湯などのお湯の循環は、20分〜30分に1循環とかなり循環スピードが速いのです。

つまり、1時間もあれば2回〜3回循環して「その都度、新しい殺菌成分がリリースされて戻って来る」ので、残念ながら、ほとんどの温浴施設でこの固形殺菌剤はメリットとならず、塩素(液体)とほとんど変わりません。

逆に「塩素化イソシアヌル酸」から溶出された「イソシアヌル酸自体」が「遊離塩素」を減少させてしまったり、「効果」に対して「コスト」が割高だったり、ムダに水質の「窒素濃度」を上昇させたりと温浴施設では実は「デメリット」ばかりとなります。

「強い塩素臭」、「耐性菌」も出来てきます。 ピンポイントで投入した場合、局所的、瞬間的に「PH」が下がり、 「塩素濃度」が急上昇する為、周辺設備の金属腐食も起きやすくなります。さらに、密閉空間中には「強い塩素ガス」も残しますので危険です。

アメリカでは、個人宅に「屋外プール」を持っていることも多く、「プール用殺菌剤」として一般的ですが、その技術を日本に持って来て、温浴施設に用いたところで、「使用環境」も「用途」も違うので、残念ながらメリットは見つかりません。


殺菌

二酸化塩素( ClO2 / ClO2- / ClO3- )


ここでは、二酸化塩素の学術的な試験データを引用致します。

二酸化塩素は水中で次のように分解されます。
2ClO2 + 2OH- → ClO2- + ClO3- + H2O (亜塩素酸イオン) + (塩素酸イオン) + (水)

毒性と危険性

上記、化学式で生じた亜塩素酸塩 (ClO2-) は低濃度でも赤血球を破壊し、溶血性貧血症を引き起こし、甲状腺機能障害を起こすとされています。また、排泄量が投与量の40%程度で、体内残留量が多く、このため発がん性や変異原性も疑われています。

一般毒性として、メタヘモグロビン血症、生殖発生毒性として精子数・精子形態異常が認められています。NOAEL(無毒性量)は、1mg/Kg - 体重/dとされ、これから不確実係数を100として、TDI(1日許容摂取量)=10μg/Kg − 体重/d となる。
(技報堂出版:藤田賢二著「水処理薬品ハンドブック」)より

二酸化塩素殺菌剤は、その開発から市場への登場までの歴史は比較的浅く、長期的に見て「人体にどの様な影響」を与えるのか完全に解明されていないのが現状です。 その場で2液を化学反応をさせて精製しますので、「高額な専用注入機器」や「機器のメンテナンス・及び故障」など「管理の手間」がかかる事など「運用面・ランニングコスト」から見ても、あまり得策とは言えません。

安定化二酸化塩素と言われる、「タブレット型」のタイプも市販で販売されておりますが、循環・浴槽内に反応生成物の亜塩素酸イオン(ClO2-) が徐々に蓄積して行きますので、施設によって頻繁に高濃度で添加されている場合、「人体への毒性」や「強い塩素臭が残留」したりと、こちらも運用面では、厳重な注意が必要となります。

また、二酸化塩素は水中のアンモニア(窒素化合物) と結合しないので、殺菌ガスがある一定の濃度で水中に残留している間は殺菌効力を示します。しかし、濃度が薄くなった水質中にバクテリアが混入すると、バクテリアが増殖するには「最適」となります。塩素と窒素が結合しないため、窒素がそのまま残りエサだらけの「栄養豊富」な水質環境となり、バクテリアの増殖しバイオフィルム化するスピードは著しく促進されると言えます。

つまり、水中のアンモニア等の窒素分(N)は、ある程度、「塩素」(次亜塩素酸ナトリウムなど)と結合させた方が、バクテリアが繁殖しづらい水質環境になるわけです。

「ぬめり」の原因は、水中の「アンモニア(NH3)」等の「窒素化合物」、及び「有機物」(炭素を含む化合物)の「濃度上昇」から引き起こされます。 人間の汗は「アンモニア」、人間が分泌する皮脂(脂肪酸、油脂)は、「生物由来の有機化合物」、 ボディーローション、スキンケア化粧品等に良く使われるグリセリン、エチレングリコールは「合成有機化合物」です。

人間がお風呂に入れば、これらの成分でお湯が汚れるのは当たり前であって、汚れることがお風呂の「大前提」なのです。

「異物」や「にごり」であれば、循環システム内のろ過器で「ろ過」されますが、水中に溶け込んだ成分は一般的なろ過器では「ろ過」出来ません。

つまりお風呂は、実は「目に見えない汚れ」でいっぱいで、この汚れを何らかの方法で分解・処理しなければ、お湯はますます汚れてしまいます。

二酸化塩素系殺菌剤を「高濃度添加」し、それを 「スーパークロリネーション」とおっしゃってる方がいますが、これは、本来の 「スーパークロリネーション」の意味・役割・効果を全く果たしていません。 なぜなら 「窒素を補足(結合)しない」からです。

※「スーパークロリネーション」

  スーパークロリネーションとは、高濃度の「次亜塩素酸ナトリウム」を用いて、「水中のアンモニア等の窒素化合物や有機物 を分解し、不活牲な無機物や窒素ガスに変える水質の浄化法」です。 欧米で最も普及している水質改善の方法で、  各地の保健所でもこの水質浄化方法を推奨しています。  二酸化塩素では、窒素化合物や有機物を分解できません。

高濃度の「二酸化塩素」(水溶液)の場合、「アンモニア」と直接混合させると、最悪のケースでは「爆発」してしまいます。

二酸化塩素系殺菌剤は、「殺菌剤」としては、非常に良い利点もあります。例えば、水溶液にして医療・調理器具類、テーブル、流し台等の設備の除菌。紙、パルプ、一部、認められた範囲での食品(小麦粉) の「漂白剤」として強い効力を示します。

しかしながら、お風呂の役割・水質環境下で必要とされる 殺菌剤+ 「水質浄化剤」 としての能力はありません。「短時間の殺菌だけしか出来ない」では、実際の現場においては「致命的な欠点」です。

次から次へと「人間が入浴」することで、化学的に「窒素化合物・有機物」の濃度が、急上昇する「温泉」の水質衛生管理はそんなに「甘い」環境ではありませんので、「二酸化塩素系殺菌剤」は温浴施設には適さないことは二酸化塩素の特性を知れば誰でもわかることです。

最近では、日本の貿易商社が中国から低品質な「超格安二酸化塩素タブレット」を輸入し、日本の温浴施設マーケットへ大量に流通させていると言う情報もありますので、これにもお気を付け下さい。 十分に安全性を確認してから使用した方が良いでしょう。

超高濃度の塩素ガスには十分気を付けて下さい

一部の販売業者が、二酸化塩素タブレットを「数週間に1回」、通常の数十倍以上の濃度で 「超高濃度添加して徹底消毒を!」「二酸化塩素タブレットでスーパークロリネーションを!」と指導して販売されているケースがありますが、 これは絶対にお止め下さい。  仮に、事故が起きても、その危険性について「言った、言わない」の水かけ論になり、結局、施設側が「泣き寝入り」になるかもしれません。

基本的に、「塩素ガス」の毒作用も「二酸化塩素ガス」の毒作用もほとんど同じと考えて下さい。

どちらも、人体における(眼、鼻、上気道などの粘膜への)強い刺激は、同等レベルで、人の粘膜などの水分に溶けて、「塩酸」と「次亜塩素酸」を生じます。 そして、二酸化塩素ガスは容易に細胞膜を浸透し、細胞構造を破壊し、その作用は「塩酸」よりもはるかに強いと報告されています。

許容濃度 (推奨)「塩素:0.5ppm」「二酸化塩素:0.1ppm」
脱出限界濃度10ppmNO DATA (不明)
最小致死濃度430ppm(30分間)NO DATA (不明)
即 死1,000ppmNO DATA (不明)

人間の1回の短時間暴露(呼吸)では、永久的な後遺症を残さない事が多いが、長期暴露、繰り返し暴露、では呼吸器症状鼻粘膜の炎症、結核に罹患しやすい、呼吸困難、呼吸機能の低下、閉塞性気道障害などの後遺症が残る。と報告されています。

また、塩素ガスの比重は空気に比べ2.48と重く、「地を這うガス」と言われています。要するに、(室内浴場・プール)等の密閉された空間では、「低い箇所から徐々に溜まって」いきますので、上部の窓を開けたくらいでは、全く換気が出来ません。

ご存知、一般的な家庭用の「塩素系カビ取り漂白剤」に ”まぜるな危険 (塩素系)” と表示された製品が売られていますが、これは、「酸系のクリーナー」等の「酸性物質」がまざると、急激に分解して危険な「高濃度塩素ガス」が発生するからです。

一般家庭のバス・トイレ清掃中に死亡事故が起こるケースが急増し、 家庭用品品質表示法によって表示が義務付けられました。

「設備の腐食面」や「管理者様への健康面」から見ても、必ず、決められた濃度で実施していただく事をお勧めいたします。


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